最近『臨床工学技士』って耳にするわ
どんなお仕事なんだろう?
ネットやTVで『人工呼吸器やECMO』の話題が出て、僕たち『臨床工学技士』の話も出てましたよね。
COVID19の影響で耳にした方も増えたかもしれないね。僕の経験も踏まえ臨床工学技士について話していこう!
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臨床工学技士ってなに?
『生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする医療機器の専門医療職種』とされています。
病院のエンジニアで主に、医療機器の操作、保守、管理を行っています。
- 1987年5月に制定された「臨床工学技士法※」に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格です。
(※公布 昭和62年6月2日、施行 昭和63年4月1日) - 医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする医療機器の専門医療職種です。
- 医師をはじめ、看護師などと共に医療機器を用いたチーム医療の一員として生命維持をサポートしています。
『いのちのエンジニア』とも呼ばれてるよ
臨床工学技士になるには
大学4年制か専門学校3年制
まずは高校を卒業し、臨床工学科がある大学や専門学校などの養成校に入学する必要があります。
大学であれば4年、専門学校であれば3年間通って臨床工学技士を目指す上で必要な専門科目の勉強をします。
養成校(大学・専門)で所定の単位を取得し、毎年3月初旬に行われる国家試験に合格することで、臨床工学技士の免許を取得する事ができます。
専攻科
既に看護師や臨床検査技師の資格を取得している場合は1年制の専攻科に通うことで受験資格を取得する選択肢もあります。
看護師から臨床工学技士を取得する
男性看護師もいるね。
女性の技士もいるの?
女性は3割近く働いているよ。
ライフスタイルに合わせて、育児休業なども取りやすいのも魅力だね。
国家試験
過去5年間の合格率
臨床工学技士の国家試験は、3月の初旬頃に各主要都市で行われます。
毎年2,000人程度の臨床工学技士が誕生します。その合格率は、70〜80%程度ですね。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
受験者数 | 2,739 | 2,947 | 2,737 | 2,828 | 2,642 |
合格者数 | 1,987 | 2,413 | 2,017 | 2,193 | 2,168 |
合格率(%) | 72.5 | 81.9 | 73.7 | 77.5 | 82.1 |
勉強していれば、国家試験自体はそこまで難関ではありません。
各養成校で国家試験受験資格を得ることが大変じゃないでしょうか・・・
向いている人の特徴
実際にどんな人がむいてるの?
機械操作や、細かい作業が好きな人
医療機器を扱うため、やはり機械に触れて操作することが好きな方が向いている仕事です。
看護師その他コメディカルや、研修医などに、医療機器の使用方法の説明も行うため、興味を持って医療機器に向き合える人が望ましいです。
コミュニケーションを取るのが上手な人
医療現場は医師や看護師、その他のコメディカルなどが連携を取りあい、それぞれの専門性を活かして一人の患者さんにより良い医療を提供する「チーム医療」です。
そのため、他の医療従事者と情報を共有しながら治療を進めるためには、円滑なコミュニケーションを取ることができる人が望ましいです。
病院にもよりますが、医療職の中でも臨床工学技士の業務範囲は広く、様々な職種との関わりが多いためコミニケーション能力とても大切です。
責任感が強い人
臨床工学技士は医療機器のメンテナンスだけではなく、医療機器を操作して治療をサポートします。
また、緊急性の高い患者さんが運ばれてきた際には、すぐに状況を判断して医療機器を準備し、操作を開始しなければいけません。
目の前の患者さんに対して真摯に向き合い、治療に全力で取り組む姿勢は当然必要です。
興味をお持ちの学生や、若手CEのみなさん。
心配しないでくださいね。最初からできる人はいません!
働いていれば自然と身につく能力でもあります。
臨床工学技士の魅力・やりがい
臨床工学技士は、多くの医療機器を取り扱うため、幅広い知識や技術が求められ、決して容易なものではありませんが、多くの魅力・やりがいを感じながら働き活躍できる職業です。
- 人の命を救う一助になる
- 活躍の場が多い(あらゆる場面、診療科で)
- 最先端の医療機器が扱える
- 診療科や急性期・慢性期病院問わず治療に関与できる
- チーム医療の一員として活躍できる
- 医療機器メーカー・ディーラーなど活躍できる場が幅広くある
- 研究者や教育者になるなどの将来性がある
あらゆる場面で活躍が期待されるのが臨床工学技士の特徴で、魅力の一つではないでしょうか。
また、臨床経験を積み研究者や教育者、医療機器メーカー等で、活躍の場を大きく広げることができるでしょう。
臨床工学技士の仕事内容
臨床工学技士の仕事内容は、勤務先の施設の規模によって、異なります。
今回は、臨床工学技士の代表的な業務内容を紹介します。臨床工学技士を目指している方には、必見の情報です。
血液浄化業務
血液浄化業務は、腎臓が十分に機能していない患者の体内に溜まっている老廃物を体外へ排泄させる仕事です。血液を浄化させる方法には、血液透析療法や血漿交換療法、血液吸着法などがあります。
血液浄化業務では、穿刺や人工透析装置の操作も行います。
血液浄化業務を担当する場合は、主に透析室に勤務することとなります。
基本的な業務内容は、回路の組み立てや穿刺・返血、透析中の装置や血圧の確認です。また、透析液や水質の管理、透析装置のメンテナンス計画や実施なども臨床工学技士の重要な仕事です。
また、シャントエコーやSPP測定などVA・血管管理を行う臨床工学技士も増えてきていますね。
臨床工学技士の多くが(7〜8割が)関わっている業務です。
呼吸療法業務
呼吸治療業務は、患者に取り付けられた人工呼吸器が問題なく稼働しているかをチェックしたり、人工呼吸器の保守点検によるメンテナンス・管理をしたりする仕事です。
人工呼吸器やNPPV、HFTなどの導入や管理、離脱などにも関わります。
一般病棟だけでなく、集中治療室や救急初療室や手術室でも使用されているため、その患者状態に合わせた設定が必要です。
また、在宅で人工呼吸器やCPAP・NPPVを使用している患者さんの管理に関わる臨床工学技士もいます。
人工心肺業務
心臓手術を行う際は、心臓の動きを止め、全身を流れる血液の循環を体外で管理する必要があります。その時に使用されるのが人工心肺装置(体外循環装置)です。
心臓手術の流れを把握し、刻々と変化する患者の生体情報を読み解きます。人工心肺装置の操作には、専門的な知識や的確な判断が求められます。
人工心肺業務は、正しく操作しなければ患者の命に重篤な影響を与えます。
数ある業務の中でも緊張感のある仕事ではないでしょうか。
※本イラストは引用元『医機なびhttp://www.iryokiki-navi.com/』
高気圧酸素業務
一酸化炭素中毒や急性の心筋梗塞などで、突然血中の酸素濃度が低下してしまうことがあります。そのような状態に陥った場合、血中の酸素濃度を素早くアップさせるために、高気圧酸素治療装置を操作します。
酸素濃度を大気圧の2倍ほどに上げた高気圧酸素治療装置で、患者を安静にさせることで、患者の血中にある酸素濃度をアップさせることが可能です。
高気圧酸素療法は、末梢循環の改善や抗菌効果が期待できます。
集中治療業務
集中治療業務では、呼吸や循環などが急性機能不全に陥った重篤な患者に、生命維持管理装置を使用して、24時間体制で治療・管理を行います。
重篤な患者には様々な医療機器が使用される事があります。
代表的なのが人工呼吸器、ECMOによる心補助・肺機能補助や、持続透析装置による血液浄化など、患者の状態をしっかりと見極め医師とディスカッションしながら機器設定などを行います。
また、特定集中治療加算を取得するためには、臨床工学技士の24時間体制が求められています。
心血管カテーテル業務
心血管カテーテルの検査業務では、動脈圧・心電図・動脈血酸素飽和度など、複数のポイントから患者のバイタルサインをチェックしたり、心臓病の診断をしたりする仕事です。
緊急時には、体外式ペースメーカーやECMO(補助循環装置)を使用する場合があります。
手術者(医師)隣で清潔介助者として、検査や治療がスムーズに進むように、医師をサポートするの仕事もあります。
手術術式を決定するための画像診断装置の操作や測定など、治療の適応について医師から意見を求められることもあります。
ペースメーカー・ICD業務
ペースメーカーやICD業務は、不整脈の患者に対してペースメーカーやICD(植え込み型除細動器)など『心臓デバイス』と呼ばれる植え込みの手術を行います。
植え込まれる『心臓デバイス』の確認や植え込み手術中のモニタリングや、手術後の定期外来チェックも、臨床工学技士の重要な仕事です。
また患者が手術を受ける際には、ペースメーカーに影響を及ぼす機器もあるため、手術前には設定調節を行うなどチェック業務も、欠かせない仕事です。
認定資格など
臨床経験や症例を数年間積めば、受験資格を与えられ上位資格として、いくつかの専門や認定資格があります。
病院によっては資格手当として、給料がUPしたり。転職等のときに有利に働くこともあります。代表的なもの一覧を紹介します。
日臨工専門制度
- 不整脈治療専門臨床工学技士認定制度
- 血液浄化専門臨床工学技士認定制度
- 呼吸治療専門臨床工学技士認定制度
- 高気圧酸素治療専門臨床工学技士認定制度
- 手術関連専門臨床工学技士認定制度
学会認定制度
- 透析技術認定士
- 体外循環技術認定士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 臨床ME専門認定士
- 臨床高気圧酸素治療装置操作技師
- 日本アフェレシス学会認定技士
こんなにたくさんあるんですね。
僕もいつか挑戦したいなぁ〜。
臨床経験を積んだ次のステップとして挑戦するのも良いんじゃないかな。今度、合格体験記でも書きますね。